”ヤリテの上司に部下は辟易”
1週間前から,喉が痛い、痰がからむといって半年ぶりに来院。
耳鼻科から抗アレルギー剤を処方されている。
半年前は業務の変更があり忙しくて、疲労と、めまいで来られた。
それは、当院の漢方で良くなったらしい。
だから、今回も内科に行かずに当院に来てくれた。
何が問題か?とりあえず、横になってもらって診察にかかる。
足はむくみ気味で瘀血がある。
腰が疲れてかたそうだ。
座りっぱなしの仕事のようだ。
パソコンをずっとみてデータを入力しているという。
腹は胃と肝臓のあたりの緊張がある。
食事は問題なくとれているので体力は落ちていない。
喉はイガイがして、頭が重たい。
軽度のアレルギーが有る。だから抗アレルギー剤をもらっていのだろう。
頭がボーっとして眠そうだ。
夕方になると頭が疲れてくるのだろう。
頭と身体の疲れがあるように思える
半年前に業務移動があり、忙しくなったと言っていたのを思い出したので、聞いてみた。
「忙しいんじゃないですか?」
「とても忙しい、けど、今の仕事にはだんだんなれました。」
「パソコンの入力は多いんですか?」
「はい、仕事がますます増えている。」
「増えるって、上から要求されるんですか?」
「まあ、そうです」
「定時に帰れますか?」
「大体2時間残業がある。帰るのは8時か9時ごろかな。」
「疲れませんか?」
「疲れます」
忙しいのはわかった。その状況に耐えて頑張っているようだ。
起きてもらって、PTM易で「何が問題点か?」を聞いてみた。
すると、「火天大有5爻」「火地晋」、「雷火豊」、「沢雷隨」が反応した。
「火天大有」は、指導、統率、支配、リーダーなどの意味がある。
特に5爻はその意味が一番強い。
この方は大人しそうなので、強いリーダーとは思えない。
たぶん、上司にそのような人がいるのだろう。そこで聞いてみた。
「だれが、統率力がつよい、上司とかはいませんか?」
「直属ではないけど、その上に皆をまとめて引ぱっている人がいる」
そのひとが5爻に相当するのだ。4爻だと直属だけど、5爻なのでもう一つ上の上司になる。
また、「雷火豊」は良い意味では、豊か、豊富とかになるが、悪いと、うるさい、騒々しい、などを意味する。そこで、また聞いてみた。
「その上司は、結構うるさく命令するような感じでないですか?」
「そうです」
やっぱりそうだ。ガミガミ命令す人がイメージされる。
「火地晋」は何か?この卦は、進歩、上昇、出世などを意味する。多くは良い意味だ。
そこでまた聞いてみた。
「その人は、結構出世が早かったんじゃないですか?出世頭とかではない?」
「東大の法学部をでてて、別の会社から引き抜かれてウチの会社に来た」
ヘッドハンティングだったんだ。
これも「火地晋」が示すように”地から出た太陽”のイメージと重なる。
「火天大有」も「火地晋」も外卦に「火」が乗っている。
「火」は、明るさ、明智、つまり頭が良いことを意味する。
この人は頭がいい人ということもこの卦からわかる。
なっとくできた。
でも、問題点を聞いたので、何が問題なのか?その上司はそれでいいかもしれないが
この患者さんにとっての問題は、なにか?
それを「沢雷隨」が示している。
つまり、従うのが、ついて行くのがキツイのだろうと思われる。そして聞いてみた。
「その人に、ついて行くの、キツクないですか?」
「キツイです。私はともかく、他の人はブツブツ不満をいっている。」
それで、すべての卦の意味がわかった。
一人とても優秀な上司がいて、頑張って、皆に命令して組織を動かそうとしているのだが、要求水準が高くて、皆ついていけなくなっている。
漢方は、ストレスに耐えるように腰を強める「八味地黄丸」と疲れに効く「補中益気湯」をPTMで選んで、今回は終了とした。
コメント
●「火地晋」は、進歩、進展、上昇、出世などを意味する。吉の意味が強いので臨床ではあまり出ない。「火天大有」と比較すると、「火天大有」はすでに昇って天にかかる明るい太陽を、「火地晋」は水平線から出たばかりの日の出の太陽をイメージさせる。
●「火天大有」、「雷火豊」、「沢雷隨」については別にアップしているので見てください。
●「八味地黄丸」はいろいろな病態に応用できる。腰を強めて、外からの影響を受けにくくしたい時にPTMでよく反応する。だから、外部から影響を受けやすい人、ビクビクする人などによくつかう。例えば、パニック、霊障、あがり症、などなど応用範囲は広い。