”金が欲しけりゃ頭を下げろ”
1月ごとに来てくれる患者さん。
3年前に風邪症状で来られ、その後引き続き来られている。
先月はめまいがあったが、それはなくなったという。
出した漢方は効いてくれたようだ、良かった。
今回は、いつもと同じように肩こりと首コリがある。
体調はそれほどわるくないという。
よこになってもらい診察する。
足はすこし内熱がある。
肝経の緊張がある。
腹は胸脇苦満がはっきり出ている。
ストレスがあるのか?
太淵に鍉鍼を当ててみてみると、
胸鎖乳突筋の緊張がめだつ。
胸脇苦満と胸鎖乳突筋の緊張があるときはストレスが多い。
目も重たい。
何のストレスだろう?
「なにかストレスがあるのですか?」
「春なんで、また企業と契約をしないといけない。」
企業からの注文を受けてコンピューターのしごとをしているらしい。
新しく注文の交渉をしないといけないという。
さらに教えてくれたのは、事務所の改装をして広げることも考えている。
だから銀行に金を借りることも考えているという。
なるほど、いろいろ金策で大変だ。
ストレスの原因はわかったがそれでも気の流れは良くならない。
どうしてだろうか?
大体、原因がわかれば気の流れがよくなるのだが。。。
そこで起きてもらって、投げ算木で易を組み立てた。
問は「気の流れが悪い原因は?」とした。
すると、「地山謙」3爻が反応。
地山謙は、”謙遜、謙譲、謙虚、へりくだり”などを意味する。
そこで次のように考えてみた。
地山謙の3爻は内卦のトップなのでこの方だろう。外卦は相手と見る。
外卦はこの場合は交渉相手の企業や銀行だ。
外卦は坤で受け入れ態勢にある。
ところが、内卦の自分は艮でお高く止まって偉そうにしている。
これは「謙譲の徳」に反する。
この方の問題は、プライドが高すぎて謙虚になれないことなのだ。
この3爻の陽が陰に変化すれば、卦全体が坤為地になり、すべて通るようになる。
プライドを捨てろということだろう。
そこで患者さんには「プライドを捨てて、ここは頭を下げて交渉に望んだらどうですか」と説明した。
すると、今回は十分に納得されたようだった。
最後にストレスに対して柴胡加竜骨牡蠣湯を処方して終了とした。
コメント
●「地山謙」は謙遜、謙譲、謙虚、卑下などを意味する。
●臨床では「上司に対して謙虚でない」、「傲慢なひと」とかの意味で出たことがある。
●内卦は自分で、外卦は相手と見る。内卦のなかでも3爻は外卦に近いので相手に進んでいく部分とみる。するとこの場合は相手に向かっている部分が陽で強すぎる。謙虚になってこの陽を陰に帰るとこの方の金策は成功するだろう。